高校時代の彼女の話

職場は基本的におっさんまみれなので、必然的に「彼女はいないのか」「いついたことがあるのか」という事を世間話のように聞かれる。

一度同期と一緒に焼肉に連れて行ってもらったとき、そういう話になり、同期が「大学時代に居たんですけどねー」と答えると、次は私に話が振られた。

「あー……。今はいないですね」

「じゃあいついたの?」

「……こっ!高校じだいに…………」

もちろん虚言である。

それ以来職場では「高校時代に彼女がいた」という設定を貫き通す事となってしまっている。

設定を貫き通すと共に、私の心も何かに貫かれるのを感じる。

私の高校時代というのは、学校が終わると同時に自転車を30分超漕いで、立川の50円ゲーセンに行って、ゲーセンのタバコのにおいと薄暗い照明と爆音に、ぐんぐん頭を悪くしながら機動戦士ガンダムSeed Destiny 連合 vs. Z.A.F.T. II」キン肉マン マッスルグランプリ2」でどれだけ強くなれるかを友人たちと競い合うものだった。

キン肉マンに関してはあまりに強くなりすぎて、62連勝まで連勝を築き上げた末に、飽きた友人に置いていかれて、しかし意地で連勝記録を止めるわけにはいかず、目と腕の疲れに泣きながら一人立川から家までの1時間弱を帰った記憶がある。

つまり私の高校時代とはキン肉マンガンダムなのである。

間違っても素敵な女の子とキャッキャウフフをした記憶はない。

最近、駅前などで別れ際にギュってしてチューしてる高校生カップルを見ると

「この人生において、私はもうこの経験は二度と出来ないのだな……」

と思ってしまう。もう高校生にはなれないのだから。

しかしお前らはゲームを通じてお互いのプライドをぶつけ合い、時には灰皿が飛んできたり、台を蹴られたりするスリルを味わいながら、連勝を積み重ねていく緊張感を知らないはずだ。

私は「無意識下の努力の臨界点と、才能との折り合いのつけ方」を、この本気でゲーセンに通っていた期間で学んだ。

決してあれは無駄な時間などではなかったのだ。

バーカ!!!!駅前でチューしてるお前ら!!!!バーカ!!!バーカ!!!!!

女の子と喋るのは好きだった(※上手く話せるとはいってない)けど、それを「好き」って感情と結びつけるのには一つ壁を作ってしまっていたというか、これは「好き」じゃなくて「嬉しい」だ。もっと「好き」は質量としての重さをもっているはずなんだ。と謎の少女漫画脳を発揮させていた。

その身、多分一歩踏み込んだ先にある景色が見えると、今の自分が置かれているいろいろと照らし合わせて、急激に怖くなってしまっただけなのだと思う。つまり自分可愛さの為だけに作られた壁だ。

それを踏み越える事が出来れば、私の頭の中で形成された「高校時代の彼女」と、駅前でチューしていた過去もどこかにはあったのかもしれない。

けれど壁の内側で友人たちと制服姿でゲーセンでアホみたいに笑い合うのも、等しくあの時間にしか出来なかったことであることには違いないし、それがどちらが偉い(?)かというのは私の価値観で計るべきものだ。

間違いなく私のほうが偉い!

しかしこの前そのゲーセンに遊びに行っていた連中と久々に遊んだところ、うち三人中二人に彼女が出来ていました。

みんなイイやつだったので必然ですが、この諸行無常の気持ちは言葉にならないので、私が高校時代に「理想の彼女」として頭の中でずっと思い浮かべていた女の子を紹介して終わりにします。

とらドラの作者として知られる竹宮ゆゆこ先生のライトノベルわたしたちの田村くん」のヒロイン・松澤小巻さんです。

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左の眠たそうな顔をした女の子です。

わたしたちの田村くん自体が、主人公の田村くんが、中学3年生になって周りが急にカップルになりはじめた!どうしよう!というところから始まり、最終的には松澤小巻という少女のために田村くんが一歩を踏み込むお話です。

おまもりのシーンは当時の私にとっては衝撃でした。寡黙な少女が言葉に出来ない想いを詰め込んだもの。

今読み返すと、右の相馬さんという女の子にもいたく感情移入をしてしまう、ラブコメライトノベルとしては今でも私の中でナンバーワンの傑作です。

なんの話してたんだっけ。松澤さんか!松澤さんかわいい!!松澤さんお嫁さんにしたい!!!!

こんな仕事に疲れた深夜に書こうと思ったのが何かの間違いでした。おやすみなさい。