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まぼろしのメロンパン

日記

ラーメンが好きです。

色々な味があるけど、一番は煮干しベースの醤油ラーメンが好き。

そう思いながら、本日は「たけちゃんにぼしラーメン」の限定あおさラーメンの大盛りを食べていた。

最近は吸い寄せられるように「ご飯を食べる」漫画ばかり買っている気がする。

しかし、私自身はそこまで食というものに対して拘りがないのかもしれないと思えてきた。好き嫌いは多いくせに。

個人経営のお高い店の食べ物より、全国展開のチェーン店の同じものが美味しく思えてしまう事がままある。

美味しんぼだと山岡さんに「化学調味料で舌が馬鹿になってる」と怒られているところだ。うるせえ!美味しけりゃいいんだよ!

そんな私も人生で一回だけ、信じられないほど美味しいものに出会った事がある。

父は休みになると、車内で4人寝泊りが出来る大きな車で、国内の色々なところに連れて行ってくれた・

小学5年生くらいの時に、フェリーを駆使して行ったのが北海道だった。

もはや全てのものが美味しかった。

早朝に函館港に着き、市場まで行く道すがらに軽く食べた吉野家の牛丼弁当すら、いつもとは違うシチュエーションが混ざって美味しかった。

市場について食べた透明なイカの刺身は、私がこれまで食べてきたイカとはなんだったのかと考えさせられる美味しさだった。

イクラ丼も忘れられない。私はそんなに大量に食べる人間ではないのだけれど、その日ばかりはあまりの美味しさに満腹中枢がいかれてしまい、夢中で必死に食べるものだから、親が見かねてもう一杯食べさせてくれたし、もう一杯食べても全然まだまだ食べたかった。

とにかく北海道はこれまでの「美味しい」の常識が覆される、恐ろしいところだった。

その中でも、一番忘れられないのが「メロンパン」だった。

なんで北海道まで行ってパン?と思うかもしれないけど、ちょうどその時にフェリーのひまつぶしにと「焼きたてジャパン」を買っていて、私と姉の中で空前のパンブームが巻き起こっていたのだ。

道の駅に置いてあったチラシを頼りに、あまり舗装されていない道を進んでいくと、洋風の掃除が行き届いた小屋が一軒立っており、そこがパン屋さんだった。

多くの人が集まる場所と言うよりかは、少人数を相手にひっそりと経営していて、お店の職人さんがフレンドリーに接してくれるようなお店。

車の中で食べるように、4人分の色んなパンを買ったけど、私がとくに主張して買ったのがメロンパンだった。

今でも、あのメロンパンを超えるパンの味を私は知らない。

焼き立てであるとか、そういうレベルのものではない。クッキー生地の風味から、中の小麦の質まで、何もかもが完璧だった。

当時の私は言葉をもってなかったため、1時間以上「美味かった!本当に美味しかった!」と言い続けるしかなかったが、あれは多分、食べ物の美味しさに心から感動した最後の記憶かもしれない。

あまりに美味しすぎたこと、その美味しさの割に人目につかない場所でひっそりと経営していたことから

「ひょっとしたらあのパン屋さんはまぼろしだったんじゃないか」

とも、車の中で話していた。

折角大人になって、私も免許をとったのだからもう一回食べてみたいものだけど、北海道は広く、もう十年以上前の記憶なので、父もどこにあったかは覚えていない。そもそもお店が続いているのかも、定かではない。

ただ、私の心からの「美味しい」の記憶として、今も深く刻み付けられていることだけは事実だ。