君が輝けば僕の願いも叶うから

「6月から始まるこのツアーの終了をもって、スフィアは2019年の10周年へ向けて、音楽活動の充電期間に入ることになりました」

 

アンコール明け最初の一曲である『虹色の約束』を歌い終えた後の挨拶でのことだった。

 

ライブが始まる前から「そろそろツアーをやってくれるんじゃないかな」「みんなのソロのライブも大好きだけど、やっぱりスフィアのライブがないとダメなんだ」なんて友達に話していたから、想像していた想いが叶ったツアーの発表は本当に嬉しくて、ワッと歓喜の声を挙げた。

 

その後に、あまりにもあっさりとみなちゃんがそんなことを言うので、本当のことを言うと私は結構動揺していたのだ。

 

心の中では前向きに肯定しようと、キレイな言葉がたくさん渦巻いていた。その後に、あやひーや愛生さん、はるちゃんの言葉を聞いて、大丈夫なんだって安心したのも本当で、何より『ISM』というアルバムの根底に込められた「終わらない 終わりなんてない」という想いをそんなに簡単に終わらせる4人じゃないことを私は知っていた。

 

それでも脚は震えていた。頭の中では色んなことを考えていた。

 

 

***

 

 

その日、家に帰ってきて、ただいまと告げた私に、姉が掛けた第一声が「大丈夫?」という言葉だった。

 

Twitter上では大学時代の先輩や後輩から、会社でも「大丈夫なの?」「今日会社休むと思ってた」などなどたくさんのお声を頂戴した。

 

それは大半が私がスフィアのことを好きなことは知っていて、だけど自分が必ずしもスフィアをものすごい好きという訳ではない人たちからの言葉ではあった。

 

「『We are SPHERE!!!!』というツアーのタイトルの通り、ここにいるみなさんがスフィアだと思っていいんだと思います」

 

挨拶の中で、愛生さんがそんなことを言っていたけれど、私の人生と『スフィア』が、傍から見てもここまで密接に結びついているものだったのだなと、一つ一つの言葉に改めて実感させられることになった。

 

 

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端的に言えば、私は仕事を辞めることを真剣に考えていた。

 

その理由については本題ではないので省略するけれど、スフィアのライブに来る前から考えていたことで、ツアーの発表と「充電期間」の話があって、それは一瞬、より明確なものになりかけた。

 

お金はある。だけど通常月火休みの私には時間がない。

 

働き始める前から想像していた。もしその日が来るなら、仕事を辞めてでも絶対に駆け付けると。

 

ならば、今がちょうどいい時なんじゃないかと思ったのだ。

 

でも、この発表の直前に歌ったのは『虹色の約束』だったのだ。

 

この日は、サビの部分を会場全体で合唱するアレンジが為されていて、自分の中でも何度もリフレインするように、その言葉を繰り返す。

 

雨上がりの空に 虹が架かるように
負けそうな時こそ 逃げないでDO THE BEST!

虹色の約束 忘れないでTAKE A CHANCE!
ナミダの後には 君の願い輝いてる

 

頭の中に刻み付けられたその言葉を思い出した時、多分、私は今仕事を辞めちゃダメなんだろうなと思った。少しでも多くスフィアに会いに行くために、ココで戦うべきなのだと思ったのだ。

 

 

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挨拶の後に歌われたのはスフィア始まりの曲『Future Stream』だった。

 

何かその先に関わるような大きな発表があって、その後に歌われるのはきっとこの曲だろうとはずっと前から思っていた。多分それは他のファンもそう変わらないのだろうけれど。

 

いつか、こういう気持ちで『Future Stream』を聴く日が来るのだろうとも思っていたけど、実際にいざ自分の身に降りかかり、想像していた”いつか”と目の前で繰り広げられる現実が重なると、スフィアと積み上げてきた時間の膨大さを改めて自覚させられるようだった。

 

自分の中で意志が固まっても、情けないことに脚は少し震えていた。だって、会えなくなるわけではないけれど、寂しいものは寂しい。

 

でも、はるちゃんの「みんなとスフィアで」をきいた時、この瞬間に立ち会うことが出来て、心の底から良かったなとも感じることが出来た。

 

ずっと前からこの日のために働いてきて、この日も午前中は仕事をして、ようやく辿り着いた場所だった。


そこで大好きな人たちが「続けるため」に決めてくれた大切な決意を、直接受け止めることが出来たのだから。

 

 

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ずっとずっと、いつまでもどこまでも大好きなものが続いて欲しいけれど、いつ何が起こるのか、その全てを想像することは出来ない。

 

だけど、その人のファンであることの行き着く先に何があるのかは、自分自身がそれぞれに決められるものだと思っている。

 

私は、もし活動の終了を迎えたとして「スフィアのことを好きな自分」がその時、立っている場所に、自分自身がちゃんと胸を張れるかどうかが全てだと思っている。

 

いつかにみた夢がある。今生きている現実がある。

 

スフィアは”いつか”から想像もつかなかったほどの長い時間、ずっと夢を見せ続けさせてくれている。私にとっての青春時代の全てで、憧れであり、目標であり続けてくれて、だから私も胸に抱えた夢を忘れずにここまで生きてこれた。

 

けど、それに甘えて中途半端に夢を見て、だらだらと過ごすのは、もうやめにしなくてはいけないんだとも思った。

 

次のツアーは、今の私が見る夢の形をハッキリとさせるための旅になるのだと思う。

 

今、自分が本当は何を思っていて、何を諦めなくてはいけなくて、何を目指してこれからを生きていくのかを見つけ出さなくてはならないし、それはスフィアライブの中だけにある答えだと、今回のライブの中で改めて確信した。

 

自己満足だけれど、10周年を迎えて戻ってきたスフィアの4人に胸を張って立っていられる、一番カッコいい自分でありたいから。

 

スフィアがいつまでも続けるために色んなことを考えてくれているからこそ、それに応えるのは決められた時間の中でありたい。